お金と準備

ネットショップに自宅の住所を載せたくない。サービス選びで確認すること

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自宅で手作りしたアクセサリー5種類を、固定費月0円のプランを選び、週末3時間ほどの開設準備で販売してみたい。そう考えたときに気になるのが、生活している自宅の住所が誰に見えるのかという点です。なお、今回の商品数や作業時間、費用の希望は検討の目安として置いた架空の例であり、一般的な標準や実績を示すものではありません。

自宅住所の公開を避ける方法を検討するときは、「サービス会社への登録」「ショップ画面での一般公開」「発送や返品での購入者への伝達」を分けて整理すると確認点が見えてきます。

住所は、どんな場面で誰に見える?

ネットショップを始める際、サービス会社への登録、ショップ上での一般公開、配送時の伝達は別々の場面です。ショップ画面で非公開にする設定を利用しても、すべての場面で住所が隠れるわけではありません。

ネットショップの画面上で販売者名や支払い・返品の条件を案内するページを「特定商取引法に基づく表示(特商法表記)」と呼びます。住所が関わる場面は大きく分けて4つあります。

横にスクロールして表全体を確認できます。
場面 住所を知らせる相手 確認のポイント
出店時の審査・本人確認 ショップの運営会社 各サービスが求める正確な住所を登録する
特商法ページ(ショップの表示) ページを訪れた閲覧者 誰でも閲覧できる場所。非公開設定の対象
荷物の発送(送り状の差出人) 購入者・配送会社 伝票の差出人欄に記載する。非公開設定とは連動しない
商品の返品・交換 返品を希望する購入者 送り返してもらう宛先。個別連絡が必要になる

このように、Web上で誰でも見られる場所と、商品を購入した特定の人に伝わる場所、運営会社のみが把握する場所は異なります。登録した情報がそのまま閲覧者に公開されるとは限らない一方で、画面上で非公開にしても配送や返品のやり取りで相手に伝わる場面があります。

世の中には差出人住所を書かずに荷物を送る匿名配送の仕組みもありますが、BASEやSTORESなどの住所非公開機能は、あくまでショップ画面上の表示を対象とした仕組みです。発送や返品で住所をどう扱うかは別途確認する必要があります。

まずは、自分が「ネット上で不特定多数に自宅住所を見られること」を避けたいのか、「購入者であっても自宅を知らせたくないのか」を区別して考えます。通信販売の基本的な表示ルールについては、特定商取引法ガイド(通信販売)で案内されています。

サービスへ登録する正確な情報、ショップ画面で公開する情報、荷物や返品対応で伝える情報は別々に確認する。住所の非公開機能だけで、すべての場面で住所が隠れるわけではない。

個人のお店でも、住所の表示は必要なの?

営利の意思をもって反復・継続して商品を販売する場合、個人であっても通信販売の表示ルールの対象になり得ます。条件を満たせば表示を省略できる制度はありますが、単に個人だからと住所欄を空欄にしてよいわけではありません。

通信販売では、商品の価格や送料、支払時期と方法、引渡時期、返品特約とともに、事業者の氏名・住所・電話番号を表示することが義務付けられています。週末に手作り品を継続して販売する場合のように、営利目的で繰り返し出品していれば、個人事業主の届出を出していなくても表示ルールの対象になり得ます。

一方で、一定の条件を満たせば表示を省略できる制度も存在します。広告上に「請求があれば遅滞なく書面や電子メールで情報を提供する」旨を表示し、実際に請求された際にすぐ提供できる体制を整えている場合は、住所や電話番号の表示を省略できます。ここでいう「遅滞なく」とは、購入者が購入を決める前に、十分な余裕を持って情報を得られる早さを指します。請求者には購入検討中の人も含まれます。

氏名の表示についても注意が求められます。法律一般の原則として、個人の名称には戸籍上の氏名(または登記された商号)を表示する必要があり、単なる屋号のみの表記は認められていません。

省略制度を利用する場合でも、連絡を拒否したり請求に応じなかったりすると、義務を果たしたことになりません。詳しい要件は、消費者庁 通信販売広告Q&AのQ15からQ19に明記されています。

BASEとSTORESの非公開設定は、どこまで隠せる?

BASEとSTORESには、個人の出店者を対象に特商法表記の所在地と電話番号を運営会社の情報へ置き換える機能があります。ただし、各サービスが求める正確な住所の登録は求められ、問い合わせや返品の事情によって購入者に連絡先が開示される場合があります。

両サービスの設定条件の違いは次のとおりです。

横にスクロールして表全体を確認できます。
項目 BASE STORES
対象となる区分 個人区分で登録しているショップ 個人・個人事業主として登録しているショップ
非公開にできる情報 所在地(住所)、連絡先(電話番号) 所在地(住所)、連絡先(電話番号)
代わりに表示される情報 BASE運営会社の住所・電話番号 STORES運営会社の住所・電話番号
登録時に必要な情報 正確な住所・連絡先の入力 実際の活動拠点・連絡先、初回入金までの本人確認
開示の条件と主体 返品依頼や取引の問い合わせ・要望時に販売者が開示 消費者の正当な権利行使に必要とSTORESが判断した場合に個別開示

BASEでは、個人区分のショップで所在地と連絡先を非公開に設定すると、ショップ画面にBASE運営会社の住所と電話番号が表示されます。詳細はBASEヘルプ(特定商取引法に基づく表記の非公開について)で確認できます。出店登録時には正確な住所の入力が必要です。なお、購入者から返品の依頼や取引上の問い合わせ・要望があった場合は、非公開設定にしていても販売者自身が住所や連絡先を開示する必要があります。また、所在地や電話番号の設定とは別に、氏名がどう表示されるかも登録前に確認しておきましょう。

STORESでも、個人および個人事業主向けに運営会社の情報へ置き換える機能が提供されています。STORESヘルプ(特定商取引法に基づく表記の非公開設定について)によると、事業者名は非公開にできず、個人の場合は戸籍上の氏名(フルネーム)が表示されます。また、登録住所には「実際の活動拠点」を入力する必要があり、現に活動していない住所は登録できません。初回売上の入金までに本人確認書類の提出も求められます。さらに、STORESヘルプ(非公開設定時の連絡先開示について)にあるとおり、返品や保証など消費者の正当な権利行使に必要だとSTORESが判断した場合は、連絡先が購入者に個別開示されることがあります。

どちらのサービスも法人は対象外です。一般公開画面で住所を置き換える機能であり、個別の取引事情による開示や、STORESでの氏名フルネーム表示など、確認すべき条件が残ります。

送り状や返品先にも、運営会社の住所を使える?

BASEやSTORESの非公開設定で画面に表示される運営会社の住所は、荷物の送り状(伝票)の差出人欄や返品先として利用できません。商品の発送と返品の受付については、画面上の表示とは別に連絡方法を準備します。

送り状とは、荷物の届け先や差出人を記入する配送伝票のことです。作品を発送する際、画面上に運営会社の住所が出ているからといって、伝票の差出人欄にその住所を書くことは認められていません。

STORESの公式案内であるSTORESヘルプ(匿名配送に関するよくある質問)では、非公開機能で表示されるSTORESの住所を配送時に利用できないと明記されています。BASEでも同様に、発送元にはBASEの住所ではなくショップオーナー自身の住所を使用するルールです。

また、商品に不備があって購入者が返品を希望する場合も、荷物の送り返し先が必要です。非公開設定を利用していても、返品対応の際には購入者へ正しい宛先を伝える運用が求められます。

商品を発送する前に、送り状の差出人欄に書く住所と、返品発生時に案内する宛先を具体的に確認しておきます。購入者に対しても自宅住所を知らせたくない場合は、ショップの非公開機能だけで完結させず、利用する配送方法の規約や別の手段を確かめる必要があります。

バーチャルオフィスを借りるか、Shopifyを使うかで変わる?

住所貸しサービスは契約すれば一律に特商法表記へ使えるわけではなく、連絡先として機能するなどの法的条件や、利用するショップ・決済の登録条件を満たす必要があります。

バーチャルオフィスとは、契約に応じて住所利用や郵便物の受取などを提供するサービスです。消費者庁 通信販売広告Q&AのQ18では、プラットフォームや住所貸し事業者の住所を特商法表記に用いる条件として、次の3点を示しています。

  1. そのプラットフォーム上で成立した取引であること(プラットフォームの住所を利用する場合)
  2. その住所や電話番号が、販売者への連絡先として実際に機能することについて合意があること
  3. 運営事業者側が、出店者の現住所や電話番号を把握しており、確実に連絡が取れる状態にあること

私書箱の住所だけを記載することは住所表示として認められず、不誠実で連絡が取れない実態があれば表示義務を満たしません。

利用するネットショップ側の登録条件にも注意が必要です。STORESの公式案内では、登録時に「実際の活動拠点」を入力することが求められており、現に活動していないバーチャルオフィス等の住所は登録不可とされています。

また、Shopifyを利用する場合も確認が必要です。Shopify ヘルプセンター(日本でのShopifyペイメントの要件)によると、日本のShopifyペイメントを利用する際は、誰もがアクセスできる状態で特商法表記を公開し、最新の状態に保つことが求められます。この公開ページとは別に、本人確認のための情報として、個人の場合は氏名、生年月日、電話番号、日本の居住住所などを提出し、本人確認資料と一致させる必要があります。

なお、ShopifyにおいてBASEやSTORESと同等の住所置換機能が用意されているかは確認できていません。そのため、住所を置き換えられる前提でサービスを選ばないよう注意します。外部の住所貸しを利用する場合でも、ショップや決済サービスが求める登録条件に合致しているかを個別に調べる必要があります。

契約前に、何を確かめれば安心して始められる?

契約前に確かめるべき行動は、自分が避けたいのが「ネット上での一般公開」なのか、「購入者への開示」まで含むのかを明確にすることです。そのうえで、候補サービスの設定や荷物の流れを整理し、未確認の事項があれば運営会社へ問い合わせて確認します。

まずは紙を1枚用意し、以下の項目について確認済みか未確認かを書き出してみます。

  • 利用区分:個人として申し込むか(法人は非公開設定の対象外)
  • 正確な登録情報:BASEの正確な住所、STORESの実際の活動拠点、Shopifyペイメントの日本の居住住所など、各サービスが求める登録情報を用意できるか
  • ページ上の表示:非公開設定によって所在地や連絡先がどのように置き換わるか
  • 氏名の表示:STORESでは個人の氏名フルネームが表示されるなど、氏名の扱いを確認したか
  • 発送時の送り状:荷物の差出人欄に記載する住所と運用方法を決めているか
  • 返品時の宛先:返品が発生した際に購入者へ案内する宛先を確認しているか
  • 個別開示の条件:問い合わせ時に販売者が開示するBASEと、権利行使時に会社が判断して開示するSTORESの条件を把握しているか

ネット上で不特定多数の閲覧者から自宅の場所を隠したいという用途であれば、BASEやSTORESの非公開機能は目的に合致します。ショップ画面上の所在地が運営会社の住所に置き換わるため、一般の閲覧者に生活拠点を公開せずに済みます。

一方で、購入者に対しても発送伝票や返品対応を含めて一切住所を知らせたくないという用途には、ショップ画面の非公開機能だけでは足りません。配送伝票のルールを確認し、疑問が残る場合は各サービスの問い合わせ窓口へ確認したうえで出店を進めます。

具体的な開設手順を確かめたい場合は、BASEの開設手順やSTORESの開設手順も確認しながら、希望に沿った準備を進めてみてください。

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