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ネットショップの発注量の決め方|販売予測・発注残・仕入れ単位で計算する
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ネットショップで在庫を補充するとき、何個仕入れるべきか発注量の判断に迷う場面があります。基本的な発注量は、対象期間に見込まれる売れ数(需要)から、今手元で販売できる在庫と、これから届く予定の発注残を差し引き、足りない分を仕入先の注文単位に合わせて調整して決めます。「いつ注文するか」を決める発注点と、「何個注文するか」を決める発注量は、役割が異なる別の基準です。
この記事では、国内向けにポーチ12商品を扱う架空のネットショップ(1拠点・担当1名、週に1時間を発注業務に使い、仕入れに充てられる手元現金の上限を仮に60,000円と設定)を例に進めます。同じ色やサイズである定番ポーチ1SKU(在庫管理の最小単位)に絞り、計算で数量を割り出してから、入荷日や支払条件、置き場の空きを確認して仕入先と合意するまでの実務の流れを見ていきましょう。
なお、本稿で紹介するShopify公式ヘルプセンターの仕様は、2026年10月9日時点の公開情報に基づいています。記事内の販売予測や日数、予算などの数値は、考え方を説明するための架空の仮定です。
今回は、いつまでの売れ数を見積もる?
発注量を考えるときは、まず「いつからいつまでの売れ行きをカバーするのか」という対象期間をそろえます。決まった間隔で定期的に発注している場合、対象期間は「今回の発注を判断した日から、次回発注した分が届いて販売可能になる直前まで」の期間で組み立てます。
ここでいうリードタイムとは、注文を出してから輸送され、荷受け、検品、棚入れを終えて、実際にお客さまへ販売できる状態になるまでの日数を指します。発送された日をそのまま販売可能日とみなすことはできません。
今回の架空店では、2026年10月9日に発注を判断するとします。発注の間隔を14日ごと、発注から販売可能になるまでのリードタイムを7日と置くと、日程の流れは次のようになります。
- 2026年10月9日:今回の発注を判断する
- 2026年10月16日:今回の発注分(7日後)が届いて販売可能になる(期間途中の入荷)
- 2026年10月23日:次回の発注(14日後)を行う
- 2026年10月30日:次回の発注分(さらに7日後)が届いて販売可能になる
今回の発注でカバーすべき対象期間は、「発注間隔14日+リードタイム7日=合計21暦日」です。カレンダー上の日付でいうと、判断日である10月9日から、次回発注分が使えるようになる10月30日の直前(10月29日)までの21日間となります(10月30日の需要は次回入荷分で対応するため含めません)。
この21日間に見込まれる将来の新規需要を計算します。1日に3個売れる見込みであれば、21日間で必要な数量は63個(1日3個×21日)です。
販売可能な状態の基本的な考え方については、Shopify ヘルプセンター: 在庫状態(Inventory states)でも定義されています。
手持ちと、まだ届かない注文をどう数える?
対象期間に必要な需要(63個)が見えたら、次は現在手元にある在庫と、すでに発注済みで入荷を待っている未着分を確かめます。ここで大切なのは、同じSKU、同じ拠点、同じ判断時点の条件でそろえ、二重に引いたり足したりしないことです。
Shopify ヘルプセンター: 在庫状態(Inventory states)の定義では、手持ち在庫(On hand)は、販売可能(Available)、注文確保済み(Committed)、不良品などの利用不可(Unavailable)の3つを足し合わせた数量を指します。配送中などの入荷予定(Incoming)は、手持ち在庫(On hand)には含まれません。
販売可能(Available)とは、今すぐ新しい注文に対して販売できる数量のことです。架空店のポーチでは、現在の販売可能在庫が25個あるとします。この25個は、すでに注文が入って発送を待っている確保分や、検品でよけた使えない分を除いた後の数字です。手元在庫からさらに注文確保分を二重に引く必要はありません。
一方、以前に注文済みでまだ届いていない発注残(Incoming)が15個あります。仕入先への確認により、こちらは2026年10月13日に届いて検品を終え、販売可能になると分かっているとします。
移動中の在庫は現時点では使えないため、現在の販売可能数(25個)へ直接足すことはできません。しかし、今回の計画期間である21日間の途中で販売可能になることが確かめられているため、期間中の供給として計算に組み入れます。遅延がないと確認できていない発注残を、無条件に間に合うと思い込んで計算に入れないよう注意しましょう。
不足32個なら、何個で注文すればいい?
期間中の需要予測と、手持ち在庫・発注残がそろったら、足りない個数を計算し、仕入先の注文ルールに合わせて実際の発注数量を決めます。
仕入先との取引では、1回の注文で受け付けてもらえる最低数量(MOQ:Minimum Order Quantity)や、ダース単位やケース単位といった注文単位(発注ロット)が決められていることがあります。最低数量と注文単位はそれぞれ別の条件です。この架空例では、仕入先と「最低数量12個、かつ12個単位」という条件でそれぞれ合意していると仮定します。
不足数量と発注数量の計算をひとつの表にまとめました。
| 項目 | 数量・計算 | 確認する前提 |
|---|---|---|
| 将来新規需要(21日間) | 63個(1日3個 × 21日) | 10月9日〜29日の対象期間に売れる見込み |
| 変動への備え | 9個 | 需要のブレや遅れに備える仮備え(統計値ではない) |
| 必要目標数量 | 72個(63個 + 9個) | 期間中に用意したい合計 |
| 現在の販売可能在庫 | 25個 | 引当・利用不可を除いた今すぐ使える手持ち |
| 確認済みの発注残 | 15個 | 10月13日に販売可能と確認済みの未着分 |
| 計算上の不足数量 | 32個(72個 − 25個 − 15個) | 今回補うべき純粋な不足 |
| 仕入先の注文単位 | 最低12個、12個単位 | 最低数量と発注倍数はそれぞれ別の合意条件 |
| 最終的な発注数量 | 36個(32個を12個単位で切り上げ) | 実際に注文書へ記載する確定数量 |
計算上の不足は32個ですが、12個単位での発注という取り決めがあるため、12の倍数へ切り上げて36個を発注します。このとき生じる4個分(36個−32個)は、仕入先の注文単位に合わせたことで生まれる余りです。
もし計算結果がマイナスになった場合は、手持ちと発注残で足りている状態なので今回の発注は見送ります。また、あらかじめ足した備え9個は業務上の仮置きであり、36個発注したからといって将来の欠品が絶対に起きないと保証されるわけではありません。
届く前に足りる?遅れたらどうする?
21日間の全体合計で計算が合っていても、今回の発注分が届くまでの間に手元の在庫が尽きてしまえば欠品してしまいます。発注量を決める際は、合計の個数だけでなく、商品が届くまでの日別の推移にも目を配りましょう。
架空店の推移を日付に沿って確認してみます。
- 10月9日(判断日):手元に販売可能在庫が25個あります。
- 10月9日〜10月15日(今回の入荷前7日間):1日3個の見込み需要に対し、7日間で必要な数量は21個です。手持ちの25個だけで仮計算上はカバーできます。
- 10月13日:既存の発注残15個が予定通り販売可能になれば、手元の在庫に余裕が生まれます。
- 10月16日:今回の発注分36個が入荷し、販売可能になります。
- 10月29日営業終了時点(次回入荷の直前):期間内の需要63個が想定通りに進んだ場合、期末の在庫数は「手持ち25+発注残15+今回36−需要63=13個」となります。この13個は、あらかじめ置いた仮の備え9個と、注文単位の切り上げで生まれた余り4個の内訳と一致します。
ただし、期末に13個残る計算だからといって、期間内の全日程で絶対に在庫が不足しないとは言い切れません。日ごとの売れ行きの偏りや突発的な遅れもあり得ます。
もし仕入先から遅れると連絡が入った場合は、仕入先の回答や自店の注文書、在庫転送の記録をもとに販売可能予定日を更新し、対象期間内に間に合うかを再計算します。直前の品切れは、今発注する数量をどれだけ増やしても防ぐことはできません。
36個の商品代は、支払と置き場に収まる?
発注数量を36個と決めたら、次は費用と手元資金、そして保管場所の確認に進みます。商品本体の価格だけでなく、付随する諸費用を含めた支払総額と支払期日を手元の資金枠と照らし合わせる必要があります。
架空店の定番ポーチの税抜単価を、仮に1個1,200円と置きます。
- 税抜商品代の小計:1,200円 × 36個 = 43,200円(架空の仮定単価)
- 仕入れに充てられる手元現金の上限:60,000円(架空の仮定上限)
43,200円はあくまで商品本体の税抜価格です。Shopify ヘルプセンター: 在庫転送の作成でも示されているように、荷物の移動には送料、関税、その他費用がある場合に個別に入力できる仕様となっています。
実際の取引では、消費税のほか、配送料や振込手数料などが別途発生する場合もあります。商品代の税抜43,200円と手元現金60,000円を直接比べて足りていると判断するのではなく、見積書や請求書で税額や別送料、手数料の有無と金額を確認して支払総額を算出し、手元現金の上限である60,000円の枠内に確実に収まるかを確かめます。
あわせて、支払期日(前払い、納品時払い、請求書払いなど)が現金の準備スケジュールと合っているか、届いた荷物を無理なく収容できる保管スペースがあるかも確かめましょう。資金や置き場が厳しい場合、納品を複数回に分ける「分納」を相談できることもありますが、分納(荷物の分割受領)ができたとしても、代金の支払期日や追加配送料がどうなるかは別問題です。支払条件の変更は仕入先との個別合意が必要になります。
注文書を保存したら、発注は確定?
管理画面上で注文書を作成して保存しただけでは、仕入先への発注が完了したことにはなりません。商品コード、色、サイズ、数量と入り数の内訳、単価、税区分、希望納期、納品先、支払条件を仕入先へ提示し、相手の合意を得て初めて注文が確定します。
Shopify ヘルプセンター: 注文書の作成では、注文書を下書きとして保存し、仕入先の確認を経て「発注済み(Ordered)」へとステータスを進める仕組みになっています。過去に同じ仕入先へ発注した履歴があると、SKUや単価、税率などが自動的に入力される場合がありますが、それが今回の最新見積りと一致しているとは限らないため、手作業での再照合が欠かせません。
また、注文書と、それに連動して作成される在庫転送はそれぞれ独立した記録です(Shopify ヘルプセンター: 在庫転送の作成)。仕入先と納期や数量の変更を合意したとしても、一方の記録を修正しただけで他方が自動的に同期されることはありません。両方のデータを手動で整合させる必要があります。
なお、Shopifyの注文書を画面上でアーカイブしても、関連付けられた在庫転送が自動的にクローズやキャンセルされることはありません(Shopify ヘルプセンター: 注文書の作成)。画面の整理と、仕入先との正式な注文取消や返金の合意を混同しないようにしましょう。
届いたら、何を次の発注へ残す?
商品が届いたら、納品書と現物を照らし合わせて検品を行い、その結果を正確に記録して次回の発注判断につなげます。
Shopify ヘルプセンター: 在庫転送の作成の仕様では、受領処理の際に「受入(Accepted)」「拒否(Rejected)」「未処理(Unfulfilled)」を区別して登録できます。販売可能数(Available)に自動で加算されるのは、受入処理を行った良品だけです。
ここで、前節までの「36個すべてが問題なく使える」計画とは別の受領練習として、届いた36個のうち「良品として受入30個、不良品として拒否2個、確認待ちの未処理4個」となった場面を考えてみます。
- 受入30個:良品として確認できたため、販売可能数(Available)へ反映させます。
- 拒否2個:不良品などのため販売可能数には含めません。拒否を記録しただけで自動的に代金が減額されるわけではないため、仕入先へ連絡して交換や返金、値引きの合意を別途取り付けます。
- 未処理4個:確認が終わるまで受領扱いにはせず、保留として進行中のステータスを維持します。
もし実際の受領がこのようになった場合は、36個すべてが使える前提で作った計画(期末に13個残る計算など)をそのまま成立させることはできません。実際に利用可能となった30個を基準に、手元在庫の計画を更新する必要があります。
検品と受領処理を終えたら、次の発注に向けて以下の2つの行動を記録に残しましょう。
- 今回の販売予測(1日3個)と実際の売れ行きにどれだけズレがあったか、発注から販売可能になるまでの日数は計画通り7日だったかを確認し、次回の需要予測と発注タイミングを見直す。
- 実際の受入数と販売数から残数を計算し、発注時に予定していた切り上げ分も含めて次回の不足計算へ反映させる。
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