PRACTICAL GUIDE

ECの資金繰り表の作り方|入金・仕入・広告・返金を日付管理

月末には現金が残る予定でも、仕入と広告の支払いが入金より先なら月の途中で不足します。売上や利益から推測せず、銀行残高を起点に、実際に入る日と出る日を並べます。

01

売上・入金・利益を分ける

02

決済事業者ごとに入金日を置く

03

月末残高だけでなく期間中の最低残高を見る

STEP 01

利益が出ても資金不足は起こる

商品が売れた日と決済事業者から銀行へ入る日は同じとは限らず、仕入は販売前、広告や物流は締め後に支払う場合があります。売上から費用を引く損益表と、日付ごとの現金増減を見る資金繰り表を分けます。Shopifyの販売レポートも販売価値を示すもので、顧客との資金移動を追跡するものではありません。

STEP 02

最初の行は使える銀行残高にする

期首残高には、事業に使える普通預金と現金だけを入れます。未入金の売上、利用制限のある残高、回収未確定の売掛、カード利用可能枠を現金へ足しません。口座が複数ある場合は、決済入金、仕入支払、税・社会保険、借入返済など用途を記録し、資金移動を収入と二重計上しないよう振替行で照合します。

STEP 03

注文日ではなく入金予定日へ置く

決済事業者ごとに、売上確定額、決済手数料、返金、チャージバック、調整、入金予定日、銀行着金日を分けます。Shopify Payments以外の外部決済ではShopify管理画面で入金情報を確認できない場合があるため、PayPal、Amazon Pay、銀行振込など各管理画面・明細を正本にします。週末、祝日、審査、保留、銀行処理によるずれを予備日へ反映します。

STEP 04

売上見込みは確度を三段階にする

入金済み、決済済みで入金予定、まだ注文もない販売予測を別列にします。販売予測を確定入金と同じ色で足さず、保守ケースでは予測を減らすか0円にします。予約販売、代引、後払い、モールは回収条件と取消・返品の発生時期が違います。入金予定額は注文総額ではなく、各明細で控除される手数料や調整後の額へ置き換えます。

STEP 05

支出は請求月でなく引落日へ置く

仕入、関税・輸入消費税、倉庫、配送、広告、カート・アプリ、給与・外注、家賃、借入返済、税・社会保険を実際の支払予定日へ置きます。クレジットカード払いは利用日ではなく銀行引落日も記録し、未払残高を忘れません。最低発注量や繁忙期の前払いで仕入が膨らむ月は、発注日・前払日・残金日を分けます。

STEP 06

返金とチャージバックを翌月へ残す

Shopify Paymentsの返金は次の利用可能な入金から差し引かれ、元のクレジットカード処理手数料は返金されません。チャージバックも対象額などが入金へ影響します。当月の返品受付だけでなく、返金実行日、決済事業者での処理日、顧客着金日、入金控除日を分け、未処理分を翌週・翌月の予定へ繰り越します。

STEP 07

8週間を週次、30日を日次で見る

先8週間は週ごとの期首残高、入金、営業支出、借入・返済、期末残高を更新します。直近30日は支払日ごとの日次行へ落とし、月末だけでなく各日の計画残高を計算します。日本政策金融公庫の資金繰り表にも、売上回収、仕入、人件費などの営業収支と営業外収支、残高を分ける欄があります。自店では決済事業者別の入金とEC固有の返金列を追加します。

STEP 08

最低残高と対応期限を先に決める

残高が0円になる日では対応が遅いため、給与、主要仕入、返金、税など止められない支出を基に警戒残高を置きます。下回る見込みが出たら、発注量・広告上限・支払条件・入金頻度の見直し、未回収確認、金融機関や専門家への相談を、必要日の前に始めます。借入や支払延期を自動的な解決策とせず、条件・費用・取引関係への影響を確認します。

STEP 09

予測と実績の差を原因別に閉じる

毎週、銀行明細と決済入金明細を照合し、予定日・予定額を実績へ置き換えます。差は販売量、入金遅延、手数料、返金、広告超過、仕入前倒し、在庫差などへ分類します。月末残高が合っても途中の不足予測を消さず、最も低かった日と原因を次月へ残します。損益、在庫、未払、税の確定は会計担当と別途締めます。

WORKED EXAMPLE

具体例:月末は27万円でも18日に15万円不足する計画

以下は一口座だけを日付順に並べた編集部モデルです。金額、入金日、支払日は自店の銀行・決済・契約明細へ置き換えます。利益、融資可能額、必要運転資金の公式基準ではありません。

1日|期首残高使える銀行残高
400,000円
5日|決済入金計画残高1,000,000円
+600,000円
10日|仕入支払計画残高250,000円
-750,000円
15日|広告カード引落計画残高30,000円
-220,000円
18日|給与・SaaS等計画残高-150,000円
-180,000円
25日|決済入金計画残高350,000円
+500,000円
27日|返金・調整月末見込270,000円
-80,000円
計算結果月間入金1,100,000円-月間支出1,230,000円=月間増減-130,000円、期首400,000円-130,000円=月末270,000円、期間中最低残高は18日の-150,000円

この数字から分かること月末見込は27万円でも、18日に15万円の資金不足が発生する計画です。警戒残高を20万円置くなら、18日までに必要な改善幅は35万円です。25日の未確定入金を前倒しできると決めつけず、仕入条件、広告上限、確定入金日を必要日前に見直します。

DECISION CORE

月末残高では見えない、月途中の資金不足を探す

注文が増えていても、入金より先に仕入・広告・物流の支払日が来れば現金は不足します。銀行残高を起点に日付順で並べ、必要日の前に打てる手を決めます。

01

入金日で売上を並べ直す

注文日や発送日ではなく、決済事業者の入金予定日と銀行着金日を置き、手数料・返金・調整後の受取額へ更新します。

02

支払日を契約から拾う

仕入、広告カード、倉庫、給与、SaaS、税、借入返済を請求月でまとめず、実際に口座から出る日へ置きます。

03

最低残高に期限を付ける

月末残高だけでなく日ごとの最低残高と警戒残高を比べ、不足する日の前に発注・広告・回収・資金相談の期限を置きます。

TWO CASES

条件が変わると、判断も変わる

一つの結論を全事業者へ当てはめず、運営条件の違う2ケースで確認します。

月末27万円でも18日に不足

前提
期首40万円、月間入金110万円、支出123万円。25日の50万円入金前に仕入・広告・給与が重なる。
判断
月末見込は27万円ですが、18日の計画残高はマイナス15万円です。月次合計だけでは支払不能の時点を見落とします。
次の行動
警戒残高20万円を含む35万円について、18日より前に仕入条件、広告引落、確定入金日を見直します。

売上130万円と入金110万円

前提
販売レポートの当月売上は130万円だが、当月の決済入金は110万円で、返金控除もある。
判断
20万円の差を未入金売上や利益と断定できません。決済期間、手数料、返金、保留、翌月入金が混在します。
次の行動
決済明細から注文・調整・入金を照合し、差額ごとに予定日と翌月繰越を記録します。

ケース内の数量・金額は判断方法を説明するモデルです。契約や予算決定には自社の実績値と最新の公式条件を使用してください。

FAQ

判断前によく出る疑問

ECの資金繰り表は何か月先まで作りますか?

まず先8週間を週次、直近30日を日次で作ると支払日の山を見つけやすくなります。繁忙期や大型仕入がある場合はさらに先も確認します。

売上が黒字なら資金繰りも安全ですか?

安全とは限りません。売上・利益の計上時期と、決済入金・仕入・広告・返金の現金日付がずれるため、銀行残高を別に追います。

クレジットカード払いはいつ支出に入れますか?

利用日と銀行引落日の両方を記録します。資金繰り表では引落日に現金が減りますが、未払額の把握から消してはいけません。

入金予定は売上総額を入れればよいですか?

決済手数料、返金、チャージバック、保留、調整があるため、可能なら決済事業者の入金明細にある予定受取額へ置き換えます。

FINAL CHECK

実行前のチェックリスト

  • 使える銀行残高から始めた
  • 売上・入金・利益を別の列にした
  • 決済事業者別の入金日を確認した
  • 仕入・広告・物流を実際の支払日に置いた
  • 返金・チャージバックの未処理を繰り越した
  • 8週週次と直近30日日次を更新した
  • 期間中最低残高と警戒残高を比較した
  • 予定と実績の差へ原因と担当を付けた
PRIMARY SOURCES

公式出典

  1. 資金繰り表(記入例)日本政策金融公庫
    • 期首現金・預金、売上回収、仕入、人件費などを期間別に並べる資金繰り表の構成
    • 営業収支と営業外収支、借入・返済、期末現金・預金を分けること
    • 売上高や各収支の算出根拠を記録する欄があること
    • 顧客の支払いから事業者が入金を受け取るまで通常は時間差があること
    • Shopify Paymentsと外部決済事業者で入金経路や確認場所が異なること
    • 外部決済事業者の入金情報はShopify管理画面で確認できない場合があること
  2. Shopifyの販売レポートShopifyヘルプセンター
    • 総売上、値引き、売上取消、純売上、送料、税、総売上高の定義
    • 販売レポートの売上は顧客との資金移動を追跡するものではないこと
    • 平均注文額や注文数の公式レポート上の計算条件
    • 日本では週単位または月単位の支払いを選び、日次支払いを利用できないこと
    • 決済期間、支払日、銀行処理時間の考え方
    • 返金・チャージバックによるマイナス残高と日本のチャージバック手数料
  3. Shopify ペイメントでの返金Shopifyヘルプセンター
    • 返金額が支払い可能額から差し引かれること
    • 開始した返金を取り消せないこと
    • 返金しても元のクレジットカード処理手数料は返金されないこと
  4. チャージバックと問い合わせShopifyヘルプセンター
    • チャージバックと問い合わせの仕組み
    • 証拠提出とカード発行会社による判断
    • Shopify Payments利用時に対象金額が支払いから差し引かれること
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