PRACTICAL GUIDE

棚卸で在庫のずれを確かめる

管理画面には100個、棚で数えたら96個。すぐに画面を96へ書き換える前に、同じ時点の同じ在庫を比べているか確かめます。売約済みの商品や検品待ちも含む総数と、今売れる数は違うためです。

01

同じ商品・拠点・時点・状態で数を比べる

02

不一致は数え直しと履歴で原因を絞る

03

修正値と増減量を混同せず、反映後も確かめる

STEP 01

まず、どの商品をどの時点で数えるか決める

棚卸は、実際の商品を数え、記録上の在庫と照合する作業です。色・サイズまで分けて管理する商品単位をSKUと呼びます。『白いシャツ全体』ではなく、白のM、白のLごとに、どの倉庫や店舗を数えるか決めます。

作業の基準時刻と担当を残し、その間の入荷・出荷・移動・返品が分かるようにします。数える区画の作業を一時止める方法もありますが、受注や他区画まで無条件に止めるわけではありません。動きを止められない場合は、数えた時刻とその前後の動きを記録し、同じ時点へ合わせて照合します。

倉庫の棚だけでなく、梱包台、返品置き場、検品待ち、別の棚に移した物も対象範囲に含むかを決めます。所有者が別の預かり品や他拠点の物を、自店の対象在庫へ混ぜないようにします。

STEP 02

総数と、今売れる数を見分ける

Shopifyでは、拠点にある在庫の総数であるOn handは、Committed、Unavailable、Availableの合計です。Committedは注文などに確保された数、Unavailableは破損や検品等で販売から外した数、Availableは今販売できる数です。ここではそれぞれ確保済み・販売不可・販売可能と呼びます。

まだ届いていないIncomingは、その拠点で数える実物や販売可能数へ足しません。反対に、注文用に確保済みでも、まだ対象の倉庫内にある物は総数の照合対象になります。棚から梱包台へ動いた商品を、棚と梱包台で二度数えないようにします。

他のカートや倉庫システムでは、表示名や状態の切替えが異なります。自店の『在庫』が総数なのか販売可能数なのかを確認します。販売可能74個と実物の総数100個を比べて26個余っていると判断する、といった分母の違う照合は避けます。

STEP 03

ずれた商品は、画面を直す前に数え直す

同じ商品コードか、箱入りの個数をばらの個数と取り違えていないか、別の棚や返品置き場にないかを見直します。可能なら最初の数字に引っ張られない方法で再計数し、数えた人・時刻・場所を残します。『前回もこの数だった』だけで正しいとは決めません。

次に、入荷の二重登録、出荷の未反映、返品の入庫漏れ、拠点間移動の片側だけの処理を調べます。Shopifyの在庫調整履歴には、変更した時刻、スタッフ・アプリ・販売チャネル、変更後の数量などが記録されます。画面を手で直した履歴だけでなく、自動処理の履歴も確認します。

数え終わってから商品が動いた場合、今の画面と古い実数を直接比較しません。調査中の不一致と原因が確かめられたものを分け、販売へ影響する場合は、管理責任者と販売可能数の扱いを相談します。分からない差をすべて紛失として処理しないようにします。

STEP 04

100個と96個の差を、販売可能数へどう反映するか

仮に、同じSKU・同じ拠点・同じ時点の総数が、記録では100個、再計数した実物では96個だったとします。差は96−100=不足4個です。これは数量の差であり、そのまま売上の損失額や会計上の評価損ではありません。

この例では、確保済み20個と販売不可6個についても実物と記録が一致し、差の4個は販売可能の区分にあると確認できたものとします。修正後の販売可能は96−20−6=70個です。入荷予定30個はまだ届いていないため、ここへ足しません。

もし確保済みの注文商品が見当たらないなら、同じ計算だけで終えられません。該当注文を調べ、欠品の対応やお客様への連絡も必要になります。実物の総数96を販売可能欄へ入れると、確保済みや販売不可まで再販売するおそれがあるので、更新する欄を見分けてください。

STEP 05

修正後の総数と、増減量を混同しない

数量をある値に設定する操作と、現在値へ増減量を加える操作は異なります。この例なら総数の修正値は96個、増減量は−4個です。『96にする』つもりで『96を追加』しないよう、商品、拠点、状態、操作方法、入力値を保存前に照合します。

ShopifyはOn handを編集すると、Availableも同じ量だけ変わると説明しています。注文用の確保や販売不可の扱いを確認しないまま総数を変えず、根拠・修正前後の値・担当を残して承認した変更だけ反映します。外部の倉庫システムが基準なら、カートだけの修正が後の同期で戻らないかも確認します。

LOGILESSでは実行済みの在庫操作を取り消せず、反対の操作や実地棚卸による修正を行うと案内されています。操作できるのはオペレーターです。誤入力時も以前の操作を消して済ませようとせず、担当者が履歴と実数を照合して適切な修正を選びます。

STEP 06

修正したら、次の受注に使われる数まで確認する

保存できたことだけで終わらず、管理画面の総数・確保済み・販売不可・販売可能を見直します。連携する販路があるなら、次に売る数へ正しく反映されたか、保留した注文に対応が残っていないかも確認します。数量の調整を二つのシステムから重ねて実行しないようにします。

繰り返す差異は、同じ商品、棚、入庫方法、返品処理、更新元などで整理します。たとえば返品の未登録が続くなら、数える頻度だけでなく、戻った商品の検品と入庫の担当を見直します。忙しい日だけ差が出るなら、引継ぎやまとめ処理の条件を確かめます。

この記事で扱うのは数量の照合です。決算用の金額評価、原価の計算、廃棄や評価損の処理は、数量の根拠をそろえたうえで会計担当者と別に確認します。

WORKED EXAMPLE

具体例:不足4個と、販売可能70個を分ける

同じSKU・拠点・基準時点の架空例です。総数を再計数し、確保済み20個・販売不可6個は実物と一致、差の4個は販売可能区分にあると確認した前提です。入荷予定30個は未着です。

記録上の総数
100個
実物の総数
96個
確保済み
20個
販売不可
6個
修正後の販売可能入荷予定30個は含めない
70個
計算結果96−100=差−4個、96−20−6=販売可能70個

この数字から分かること記録と実物を同じ範囲で比べ、更新する欄を確かめます。この例の96個を販売可能数へそのまま入力せず、根拠を確認した不足4個だけを適切な状態へ反映します。

DECISION CORE

画面の数を合わせる前に、何がずれたかを確かめる

実物が少ないのか、比較する在庫の状態が違うのか、反映時刻が違うのかを分けます。数値を変えるのは、照合した根拠と変更後の影響が分かってからです。

01

実物の総数と販売可能数なら、そのまま比べない

注文用に確保した物や販売から外した物も総数には入ります。画面の列の定義を先に確かめます。

02

再計数でも違うなら、前後の動きへ戻る

入庫・出庫・返品・移動と変更履歴を基準時刻へ合わせ、古い実数を今の画面へ上書きしないようにします。

03

注文用の商品が足りないなら、注文対応も残す

販売可能数の調整だけで閉じず、確保済みの注文と実物の対応を調べ、欠品の連絡や代替を担当へ引き継ぎます。

TWO CASES

条件が変わると、判断も変わる

一つの結論を全事業者へ当てはめず、運営条件の違う2ケースで確認します。

数えている間に出荷が進んだ

前提
午前に棚を数え、午後に画面を見たところ数量が減っている。
判断
午前と午後の在庫を直接比べると、正常な出荷を差異として数えてしまう可能性があります。
次の行動
計数時刻と出荷・移動の記録を照合し、同じ基準時点へそろえてから差を判断します。

返品置き場の物を販売在庫へ足した

前提
返品された商品が倉庫にあるため、検品前に販売可能数へ加えようとしている。
判断
その場にあることと再販売できることは別で、破損や不足品が含まれるかもしれません。
次の行動
実物の総数には範囲に応じて含めつつ、品質確認と入庫処理が済むまで販売可否を分けます。

ケースと数量は照合手順を考える仮例です。実際の計数時刻、商品状態、入出庫履歴を確認して判断してください。

FAQ

判断前によく出る疑問

実在庫100個なのに販売可能74個なら、26個ずれていますか?

確保済みや販売不可の合計が26個なら、総数100個と販売可能74個は両立します。同じ在庫状態を比べてから差異を判断してください。

入荷予定の商品も、棚卸の実物数へ足しますか?

まだ対象拠点へ届いていない商品は、その拠点で数える実物へ足しません。到着後も検品や入庫処理と、販売可能になる条件を確認します。

在庫調整を間違えたら、以前の記録を削除すればよいですか?

使うシステムの修正手順に従い、誤った操作と修正の根拠を残します。LOGILESSのように取消しできず反対操作等が必要なものもあるため、担当権限を確認してください。

FINAL CHECK

実行前のチェックリスト

  • SKU・拠点・基準時点をそろえた
  • 総数と販売可能数を区別した
  • 検品待ちや梱包台を二重に数えていない
  • 再計数と入出庫・返品・移動履歴を照合した
  • 修正値と増減量、更新権限を確認した
  • 反映後の数と未解決の注文を確認した
PRIMARY SOURCES

公式出典

    • On handはCommitted・Unavailable・Availableの合計で、Incomingは販売可能数に含まれないこと
    • On handの変更に伴いAvailableも同じ数量変わること
  1. Shopifyの在庫調整履歴Shopifyヘルプセンター
    • SKU・バリエーションごとに在庫調整の日時、原因、担当、数量変化を確認できること
    • 販売不可、引当、販売可能、手元、入荷予定の在庫状態が分かれていること
    • 注文、移動、返品再入庫、破損、紛失などの調整理由を履歴で確認できること
    • 実行済み在庫操作は取り消せず、反対の操作や実地棚卸を用いること
    • 在庫操作はオペレーターでのみ可能であること
CORRECTION

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