STEP 01
まず、どの商品をどの時点で数えるか決める
棚卸は、実際の商品を数え、記録上の在庫と照合する作業です。色・サイズまで分けて管理する商品単位をSKUと呼びます。『白いシャツ全体』ではなく、白のM、白のLごとに、どの倉庫や店舗を数えるか決めます。
作業の基準時刻と担当を残し、その間の入荷・出荷・移動・返品が分かるようにします。数える区画の作業を一時止める方法もありますが、受注や他区画まで無条件に止めるわけではありません。動きを止められない場合は、数えた時刻とその前後の動きを記録し、同じ時点へ合わせて照合します。
倉庫の棚だけでなく、梱包台、返品置き場、検品待ち、別の棚に移した物も対象範囲に含むかを決めます。所有者が別の預かり品や他拠点の物を、自店の対象在庫へ混ぜないようにします。
STEP 02
総数と、今売れる数を見分ける
Shopifyでは、拠点にある在庫の総数であるOn handは、Committed、Unavailable、Availableの合計です。Committedは注文などに確保された数、Unavailableは破損や検品等で販売から外した数、Availableは今販売できる数です。ここではそれぞれ確保済み・販売不可・販売可能と呼びます。
まだ届いていないIncomingは、その拠点で数える実物や販売可能数へ足しません。反対に、注文用に確保済みでも、まだ対象の倉庫内にある物は総数の照合対象になります。棚から梱包台へ動いた商品を、棚と梱包台で二度数えないようにします。
他のカートや倉庫システムでは、表示名や状態の切替えが異なります。自店の『在庫』が総数なのか販売可能数なのかを確認します。販売可能74個と実物の総数100個を比べて26個余っていると判断する、といった分母の違う照合は避けます。
STEP 03
ずれた商品は、画面を直す前に数え直す
同じ商品コードか、箱入りの個数をばらの個数と取り違えていないか、別の棚や返品置き場にないかを見直します。可能なら最初の数字に引っ張られない方法で再計数し、数えた人・時刻・場所を残します。『前回もこの数だった』だけで正しいとは決めません。
次に、入荷の二重登録、出荷の未反映、返品の入庫漏れ、拠点間移動の片側だけの処理を調べます。Shopifyの在庫調整履歴には、変更した時刻、スタッフ・アプリ・販売チャネル、変更後の数量などが記録されます。画面を手で直した履歴だけでなく、自動処理の履歴も確認します。
数え終わってから商品が動いた場合、今の画面と古い実数を直接比較しません。調査中の不一致と原因が確かめられたものを分け、販売へ影響する場合は、管理責任者と販売可能数の扱いを相談します。分からない差をすべて紛失として処理しないようにします。
STEP 04
100個と96個の差を、販売可能数へどう反映するか
仮に、同じSKU・同じ拠点・同じ時点の総数が、記録では100個、再計数した実物では96個だったとします。差は96−100=不足4個です。これは数量の差であり、そのまま売上の損失額や会計上の評価損ではありません。
この例では、確保済み20個と販売不可6個についても実物と記録が一致し、差の4個は販売可能の区分にあると確認できたものとします。修正後の販売可能は96−20−6=70個です。入荷予定30個はまだ届いていないため、ここへ足しません。
もし確保済みの注文商品が見当たらないなら、同じ計算だけで終えられません。該当注文を調べ、欠品の対応やお客様への連絡も必要になります。実物の総数96を販売可能欄へ入れると、確保済みや販売不可まで再販売するおそれがあるので、更新する欄を見分けてください。
STEP 05
修正後の総数と、増減量を混同しない
数量をある値に設定する操作と、現在値へ増減量を加える操作は異なります。この例なら総数の修正値は96個、増減量は−4個です。『96にする』つもりで『96を追加』しないよう、商品、拠点、状態、操作方法、入力値を保存前に照合します。
ShopifyはOn handを編集すると、Availableも同じ量だけ変わると説明しています。注文用の確保や販売不可の扱いを確認しないまま総数を変えず、根拠・修正前後の値・担当を残して承認した変更だけ反映します。外部の倉庫システムが基準なら、カートだけの修正が後の同期で戻らないかも確認します。
LOGILESSでは実行済みの在庫操作を取り消せず、反対の操作や実地棚卸による修正を行うと案内されています。操作できるのはオペレーターです。誤入力時も以前の操作を消して済ませようとせず、担当者が履歴と実数を照合して適切な修正を選びます。
STEP 06
修正したら、次の受注に使われる数まで確認する
保存できたことだけで終わらず、管理画面の総数・確保済み・販売不可・販売可能を見直します。連携する販路があるなら、次に売る数へ正しく反映されたか、保留した注文に対応が残っていないかも確認します。数量の調整を二つのシステムから重ねて実行しないようにします。
繰り返す差異は、同じ商品、棚、入庫方法、返品処理、更新元などで整理します。たとえば返品の未登録が続くなら、数える頻度だけでなく、戻った商品の検品と入庫の担当を見直します。忙しい日だけ差が出るなら、引継ぎやまとめ処理の条件を確かめます。
この記事で扱うのは数量の照合です。決算用の金額評価、原価の計算、廃棄や評価損の処理は、数量の根拠をそろえたうえで会計担当者と別に確認します。