在庫・出荷・システム

ロット・期限のある商品の在庫管理|出荷できる数と履歴を分ける

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倉庫に同じ常温包装食品が並んでいても、期限や確認状況が混ざっていれば、手元にあるすべてを今すぐ出荷できるとは限りません。自店の出荷基準に合わないものや、確認待ちの在庫が含まれているときは、自店の出荷基準を満たすものだけを正しく切り分ける必要があります。

この記事では、常温包装食品12商品を自社サイトやモールで販売している架空の店舗を想定します。運営担当者は1名で、入出荷の確認に毎日20分、記録の見直しに毎週60分を使い、手元の表計算シートと委託倉庫の記録を活用しながら、追加予算を月5,000円以内(税込、2026年10月時点の仮条件)に抑えて管理体制を見直す場面を考えます。なお、この設定は特定の管理ソフトの利用料金や、作業が必ず時間内に終わることを保証するものではありません。

高機能な専用システムを慌てて契約する前に、まずは1つの商品についてロットごとの内訳を整理することが現実的な第一歩です。帳簿と実在庫の差を埋める作業は棚卸、補充量の調整は発注判断、売れ行きの偏りへの対応は回転分析に委ね、本稿では「いまどの在庫を出荷できるか」の判定と「どのロットをどの注文へ出荷したか」の追跡手順に絞って整理します。

合計在庫があれば、そのまま出荷していい?

画面上の合計数量だけを見て出荷指示を出してはいけません。商品全体の合計数と、ロットごとの内訳を明確に分けて把握する必要があります。

在庫を管理する単位として、商品の色や容量などを区別する最小単位を「SKU」と呼びます。これに対して、同じ製造日や仕入れ日など、同一の製造・流通のまとまりを識別するために割り振られた番号や記号が「ロット」です。

一部のロットに確認待ちや基準外の在庫が混ざっていたとしても、問題の影響範囲が限られており、別のロットが自店の出荷基準を満たしていると確認できた場合は、問題のない在庫まで一律に出荷停止へ広げる必要はありません。ただし、共通の原料や保管環境など、他のロットへ及ぶ原因がないかを確かめることが前提です。画面上の合計数だけを見て「在庫があるから出荷できる」と判断してしまうと、出荷を止めるべき在庫まで誤って発送してしまうおそれがあります。

クラウド型EC自動化プラットフォームのLOGILESS公式FAQ(2026年10月9日確認)によると、一般的なSKU別の在庫レポートとは別に、出荷期限日やロットなどの「物理在庫属性」別のレポートが用意されています。ただし、こうした属性管理は任意機能であり、委託先の倉庫によっては記録作業に対応できない場合もあるため、事前に運用可能かどうかの確認が必要です。

ロットごとに、何を記録すればいい?

現物の商品と管理表をつなぐには、商品コード、ロット番号、外装の表示日付、その日付の種類、数量、ロケーション(倉庫内の棚などの保管場所)、そして出荷を止めている場合は保留理由を記録します。

パッケージに印字されている日付を記録する際は、それが「賞味期限」なのか「消費期限」なのか、あるいは「製造日」なのかという日付の意味を区別し、意味を変えずに残すことが欠かせません。もし外装の印字がかすれていて判読できない場合は、推測で日付を入力してはいけません。日付欄を空欄にしたまま、「仕入先へ賞味期限を照会中」のように確認先と保留理由を記録し、確認が取れるまで出荷を保留します。

一般的なJANコードなどのバーコードを読み取るだけで、ロット番号や期限まで自動的に取得できるわけではありません。外装の表示から目視などで識別できる情報を現物と照合して記録することが基本となります。LOGILESSの在庫機能紹介でも示されているように、ロットごとの在庫数や出庫ログ、在庫操作ログによる変動履歴を残せる仕組みを活用し、倉庫側で実際にその項目が読み取り・記録できる運用になっているかをあらかじめすり合わせておきましょう。

表示期限と、店の出荷締切は同じ?

商品のパッケージに記載された表示期限と、商品期限に基づいて店舗が出荷対象とする境界を定めた自店の出荷締切は同じではありません。日々の注文を受け付けて当日発送するための受注締切時刻とは異なり、在庫を出荷対象として認める限界の期日を指します。

パッケージに記載されている消費期限や賞味期限をそのまま出荷の最終日とするのではなく、商品の保存条件、配送にかかる日数、仕入れ先や販売先との取り決めを考慮して、自店が確認した出荷基準に照らして判断します。

注文に対して在庫を正式に確保する処理を「引当」と呼びます。システムを活用した具体例として、LOGILESSの引当不可日数の解説によると、出荷期限日の何日前から注文への引当対象から除外するかを制御する「引当不可日数」という機能があります。倉庫側で自動処理の設定を行っていれば、該当日を迎えた在庫を自動的に保留在庫へ移動させることができます。

架空店のような小規模な運用では、表計算シートに自店の出荷締切日を設けて判定する運用案が役立ちます。システムを導入している場合でも、日数設定を登録するだけでなく、倉庫側で自動処理や保留移動の設定が正しく有効化されているかを確認する必要があります。

120個のうち、出荷対象はいくつ?

基準外の在庫と確認待ちの在庫を差し引いた数量が出荷対象となります。同一SKUの常温包装食品120個について、保管場所をあらかじめ分けた記録例が以下の表です。

横にスクロールして表全体を確認できます。
ロット 保管場所 個数 状態・理由 自店基準 出荷対象
ロットA 棚番 A-01 60個 正常保管 締切前 60個
ロットB 棚番 A-02 40個 出荷基準外 締切超過 0個
ロットC 棚番 B-05 20個 品質確認中(理由と確認先・担当を記録) 確認待ち 0個
合計 - 120個 - - 60個

出荷対象となる現物は「120個 − 40個 − 20個 = 60個」(ロットA内に未出荷注文への確保分10個が含まれる追加例なら、新規注文へ使える数は50個)です。ロットBのように自店の出荷基準から外れた在庫は、直ちに廃棄と決めつけるのではなく、まずは出荷対象から外して処遇を検討します。出荷対象の現物と新規注文向けの販売可能数を区別し、保留分や引当分を二重に差し引いてしまわないよう注意しましょう。

基準外や確認中の在庫については、棚番A-02や棚番B-05のように物理的な保管場所を明確に分けて記録し、出荷対象のロットAと混ざらないよう位置の管理に集中させます。システム上の詳しい引当制御やロケーション設定については次節で確認します。

架空店の同一SKU120個をロット別の棚で分けた図。袋一つは10個のまとまり。A-01棚のロットAは60個で自店基準を満たす出荷対象。A-02棚のロットBは40個で自店の出荷締切を超過し、B-05棚のロットCは20個で品質確認中のため、どちらも出荷対象から除く。120個から40個と20個を除くと出荷対象は60個。追加条件としてA60個の中に未出荷注文への確保10個があれば、新規注文に使えるのは50個となる。自店締切の超過を即時廃棄と決めず、棚を分けたうえでシステムの引当除外も確認する。

期限の早い順なら、期限切れも防げる?

日付の早いものから順に選ぶ引き当ての優先順位と、特定の在庫を出荷対象から外す出荷停止の設定は、まったく別の仕組みです。期限の早い順に出荷する設定にしているからといって、それだけで基準外の在庫の出荷を自動で防げるわけではありません。

LOGILESSの仕様には注意すべき点があります。LOGILESS公式FAQによると、出荷期限日の昇順(期限の早い順)で引当順序を設定した場合、出荷期限日が「未設定」の在庫が存在すると、期限が設定されている在庫よりも未設定の在庫が優先して引き当てられます。さらに、通常は出荷期限日を超過した在庫であっても自動で引当から除外されるわけではないため、引当を止めたい場合は「引当不可ロケーション」への設定や移動が必要です。

架空店の実務では、出荷基準を満たさないロットBや確認中のロットCについて、正常なロットAとは保管棚を分けたうえで、利用しているシステム上でもその保管場所が引当対象から確実に除外されているかを確かめます。期限がわからない在庫がある場合でも、システムを動かすためだけに推測で架空の日付を入力してはいけません。

出したロットを、注文から追える?

出荷後に問い合わせや確認が必要になったときに備え、注文番号と出荷した商品のロット番号、数量を明細単位で紐づけて記録します。

出荷実績(実際に発送した商品やロットの確定記録)は、入荷ロットと必ずしも一対一で対応するとは限りません。たとえば、出荷可能と確認された在庫から3個を出荷する際、ロットDから2個、ロットEから1個のように複数ロットにまたがる場合は、出荷記録の行を分けて明細ごとに記録を残します。

システムでこの履歴を残す方法として、LOGILESSでは大きく2つの方式が案内されています。LOGILESS公式FAQ(ロット・出荷期限日管理)によると、1つ目は入荷予定や入荷時、在庫変換時にあらかじめ出荷期限日やロット番号を登録しておく「事前属性登録方式」です。この方式をとることで、出荷実績に出荷期限日やロット番号の記録を残せます。ただし、外装の印字と登録値が一致しているかどうかは、現場での照合が必要です。

もう1つの方法として、出荷検品の現場でロット番号を記録する方式もあります。ただし、これには商品タグ「出荷検品時にロット番号を要求する」を設定し、委託倉庫側が有料の庫内デバイス「マルチプラットフォーム」(2026年10月時点)を利用して検品作業を行う必要があります。また、この検品時記録方式で記録できるのは「ロット番号のみ」であり、出荷期限日を同時に記録することはできません。

LOGILESSの在庫機能紹介で示される出庫ログ機能なども確認しながら、自店と委託先が無理なく運用できる記録手順を確定させましょう。

返品や訂正のあと、何を確認して再開する?

返品や入力訂正があったときは、変更前後の数値、訂正理由、処理日時、担当者名を記録に残し、保留理由の解消、自店の出荷基準、システムの除外状態を個別に確かめてから出荷を再開します。

顧客から返品された商品を扱う場合は、出荷時の記録を遡って元注文と出荷ロットを特定し、戻ってきた現物のラベルと突き合わせます。倉庫に届いたからといってすぐに良品として販売可能数へ戻すのではなく、返品受付、品質確認、再販売判断を別々の手順として進めます。一方で、まだ出荷されていない保管中の在庫について数量や日付を修正する場合は、注文番号を探すのではなく、仕入伝票や受入時の記録を参照して根拠を確認します。

ロットCのように品質確認中で保留にしていた在庫を再開する際は、まず保留理由を解消できる確認担当者(仕入先や表示責任者など)から根拠を確認して品質上の懸念を解消します。そのうえで自店の出荷基準を満たしているかを確かめ、さらにシステムの引当除外状態を解除して出荷対象へ戻します。外装の印字がかすれて判読できないといった事例は別の記録例として、推測で埋めず確認先を記録して保留としますが、いずれの場合も担当者による確認根拠と自店の出荷基準の確認が取れるまでは除外状態を解除してはいけません。

LOGILESSの在庫機能紹介にあるような在庫操作ログを活用し、誰がどのような理由で在庫を移動・訂正したのかが追える状態を維持しましょう。

まずは今日、扱っている商品のなかから1商品を選び、手元の表計算シートや倉庫の受入記録を使って、現物ラベルの表示日付、自店の出荷締切、保管場所、そして出荷履歴がつながっているかを確かめることから始めてみてください。


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