PRACTICAL GUIDE

ECの在庫回転率と滞留在庫対策|販売率・在庫日数の見方

在庫回転率が低い、という一つの数字だけで値下げや廃棄を決めると、売れ筋の欠品や利益悪化を招きます。金額、数量、経過日数、補充リードタイムを分け、SKUごとに次の行動を決めます。

01

在庫回転率・販売率・在庫残日数を分ける

02

ABCを利益順位と誤解しない

03

補充停止から廃棄までを段階で判断する

STEP 01

三つの在庫指標を同じ名前で呼ばない

金額ベースの在庫回転率は、一定期間の売上原価を同じ期間の平均在庫金額で割る管理指標として使えます。Shopifyの販売率は販売数÷(販売数+期末在庫数)、在庫残日数は期末在庫数÷1日平均販売数です。売上高を使う回転率、数量で見る販売率、将来予測の残日数は意味が違うため、式・期間・単位を列名へ書きます。

STEP 02

SKU・場所・入荷時期がそろう表を作る

商品名だけでまとめず、SKU、バリエーション、ロケーション、初回・最終入荷日、最終販売日、販売可能数、引当、販売不可、入荷予定を分けます。Shopifyの在庫調整履歴では、注文、移動、返品再入庫、破損、紛失などによる数量変化を確認できます。倉庫にある数量と販売できる数量を同じ在庫として扱わず、在庫差は理由と担当を残します。

STEP 03

売れない在庫は日齢と販売機会で分ける

30日、60日、90日、180日など自店の商品寿命に合う日齢帯を置き、最終販売日と最後に販売可能だった日も確認します。欠品や非公開で売れなかった商品を需要なしと断定しません。販売数が0ならShopifyの在庫残日数は予測に必要な平均販売数を作れずN/Aになるため、無限日とせず、閲覧、販売可能日、季節、価格、後継品の有無を確認します。

STEP 04

ABCは売上寄与であり利益順位ではない

ShopifyのABC分析は直近28日間の売上寄与でA・B・Cへ分類し、原価は等級計算に含めません。Aだから高利益、Cだから廃棄候補とは限りません。各SKUへ注文貢献額、返品、保管制約、補充リードタイム、代替品を追加します。Aは欠品損失を避け、Cは過剰補充を止める出発点として使い、等級だけで値引きしません。

STEP 05

最初の対策は追加発注を止めること

滞留を見つけたら、まず未確定の発注、定期補充、広告、自動移動を確認します。需要が戻る根拠がないまま在庫を増やすと、販売施策より速く資金が固定されます。発注済み数量、取消期限、最低発注量、入荷予定、現在庫を一つの表にし、売り切る数量と守る安全在庫を分けます。売れ筋の発注点まで一律に下げません。

STEP 06

移動・見せ方・価格・終売を順に試す

販売できる在庫なら、需要があるロケーションへの移動、商品情報や検索導線の修正、関連商品の提案、セット化、期間を決めた価格テスト、卸売・寄付・終売の順で候補を比較します。値引き前後は販売数だけでなく実売額、商品原価、追加送料、広告、返品、作業時間を記録します。売れた数量を施策の純増や利益と決めつけず、通常販売との食い合いも確認します。

STEP 07

在庫残日数は納期と安全在庫へつなぐ

在庫残日数が長いか短いかは、補充リードタイムと需要変動で変わります。残り80日でも仕入先納期が90日なら過剰とは限らず、納期21日で安定需要なら補充量を減らせる可能性があります。発注点は平均販売数×リードタイム+安全在庫として別に計算し、滞留在庫の削減と欠品防止を同じ一律基準で行いません。

STEP 08

運営上の滞留と会計・税務処理を分ける

自社で90日無販売を滞留候補と定義しても、その時点で帳簿価額を自動的に切り下げたり、損金へできるとは限りません。国税庁は、著しい陳腐化や通常の方法で販売できない状態の例と、単なる物価変動や過剰生産等では評価損の対象にならない注意を示しています。廃棄、評価、寄付の証拠と処理は税理士・会計担当へ確認します。

STEP 09

月次会議では金額と次の行動を閉じる

月末ごとに、期末在庫金額、販売率、在庫残日数、無販売日数、欠品日数、入荷予定、対象在庫の注文貢献額をSKU別に更新します。各行へ補充継続、停止、移動、情報修正、価格テスト、終売確認のいずれかと担当・期限を置きます。翌月は実売、値引額、処分費、在庫差を反映し、率が改善しただけで現金や利益が増えたと判断しません。

WORKED EXAMPLE

具体例:30日で60個売れたSKUの販売率と残日数を分ける

以下は単価ではなく数量と取得原価を使う編集部モデルです。Shopifyの販売率式と、当サイトの簡易な平均在庫金額を併記します。公式の推奨水準、会計・税務上の評価、需要予測ではありません。

期首在庫取得原価1,200円/個
180個
期間内入荷30日間
40個
販売数平均2個/日
60個
期末在庫180+40-60
160個
Shopify式の販売率60÷(60+160)
27.3%
在庫残日数160÷2個/日
80日
平均在庫金額(期首216,000円+期末192,000円)÷2
204,000円
30日売上原価60個×1,200円
72,000円
計算結果販売率 60÷(60+160)=27.3%、在庫残日数 160÷2=80日、30日在庫回転率 72,000円÷204,000円=0.35回

この数字から分かること販売率27.3%、残り80日、30日在庫回転率0.35回は別の指標です。80日を過剰と断定せず、補充リードタイム、安全在庫、季節性、次回入荷40個の確定状況を確認します。0.35回をそのまま年率換算すると季節変動を隠すため、この30日モデルでは行いません。

DECISION CORE

滞留在庫を、率の悪さではなく次の行動へ変える

販売率が低い商品を一律に値下げすると、季節待ちや長納期の在庫まで利益を削ります。数量、金額、日齢、販売可能期間を分け、補充停止から終売までを段階で選びます。

01

指標名に式を添える

売上原価で見る回転率、数量で見る販売率、現在速度から予測する残日数を別列にし、期間と単位が違う数字を順位化しません。

02

無販売を原因別に分解

需要不足だけでなく、非公開、欠品、販売不可、ロケーション違い、季節待ち、後継品発売を確認し、売れなかった日と売れなかった理由を分けます。

03

補充停止を先に判定

値引きで売る前に未確定発注と自動補充を止められるか確認し、今ある在庫の処分と将来入ってくる在庫を同じ問題として管理します。

TWO CASES

条件が変わると、判断も変わる

一つの結論を全事業者へ当てはめず、運営条件の違う2ケースで確認します。

販売率27.3%で残り80日

前提
30日で60個を販売し、期末160個、平均販売数2個/日。次回40個の入荷予定もある。
判断
販売率だけでは過剰か判断できません。残り80日と補充納期、安全在庫、入荷40個の取消可否を合わせる必要があります。
次の行動
入荷予定を含む在庫ポジションを作り、発注停止、入荷延期、販売施策の順に担当と期限を決めます。

C等級だが粗利と関連販売が高い

前提
直近28日の売上寄与は小さい一方、注文ごとの粗利が高く、主力商品の交換部品として必要になる。
判断
ABCは原価を使わない売上寄与分類なので、C等級だけで廃番にすると顧客体験や主力商品の販売へ影響し得ます。
次の行動
最低保有数、部品の需要周期、代替可否、保管費を確認し、過剰分だけを減らします。

ケース内の数量・金額は判断方法を説明するモデルです。契約や予算決定には自社の実績値と最新の公式条件を使用してください。

FAQ

判断前によく出る疑問

在庫回転率は何回なら良いですか?

商品寿命、粗利、仕入納期、季節性で適正値が変わります。自店の同じ商品群・同じ期間と比較し、欠品日数と注文貢献額も確認します。

何日売れなければ不良在庫ですか?

一律の日数はありません。消費期限、季節、後継品、補充納期に合わせて候補日数を決め、経過だけでなく販売可能だった日を確認します。

販売率と在庫回転率は同じですか?

異なります。販売率は数量、在庫回転率は金額で計算する場合があり、分母も期末在庫か平均在庫かで変わります。式を併記してください。

滞留在庫を廃棄すれば損金にできますか?

運営上の滞留判定だけでは決められません。商品の状態、処分事実、適用する会計・税務条件と必要証拠を税理士や会計担当へ確認してください。

FINAL CHECK

実行前のチェックリスト

  • 回転率・販売率・残日数の式と期間を記録した
  • SKU・ロケーション・在庫状態を分けた
  • 入荷日・最終販売日・販売可能日を確認した
  • ABCへ原価・返品・納期を追加した
  • 未確定発注と自動補充を確認した
  • 値引き前後の注文貢献額を計算した
  • 滞留の運営定義と会計・税務処理を分けた
  • 各SKUの行動・担当・期限を決めた
PRIMARY SOURCES

公式出典

  1. Shopifyの在庫レポートShopifyヘルプセンター
    • 月末在庫数・在庫価値、日次販売数、在庫残日数などの公式レポート
    • 在庫消化率が販売数÷販売数と期末在庫数の合計で計算されること
    • 在庫指標の対象期間、反映遅延、削除済み商品・ロケーションに関する条件
  2. ShopifyのABC在庫分析Shopifyヘルプセンター
    • 商品を売上寄与に応じてA・B・Cへ分類する公式レポートの考え方
    • A・B・Cがそれぞれ売上の約80%、次の15%、残り5%へ寄与する分類であること
    • 等級計算は小売価格ベースの売上を使い、値引きと商品原価を考慮しないこと
  3. Shopifyの在庫調整履歴Shopifyヘルプセンター
    • SKU・バリエーションごとに在庫調整の日時、原因、担当、数量変化を確認できること
    • 販売不可、引当、販売可能、手元、入荷予定の在庫状態が分かれていること
    • 注文、移動、返品再入庫、破損、紛失などの調整理由を履歴で確認できること
    • 在庫回転期間が仕入から販売までの期間を示す管理指標であること
    • 在庫回転率が一定期間に在庫が入れ替わった回数を示すこと
    • 在庫回転率を売上原価÷棚卸資産として示し、売上高を使う場合もあると注記していること
    • 季節商品の売れ残りや新製品発売による著しい陳腐化の例示
    • 破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等で通常の方法により販売できない状態の例示
    • 単なる物価変動、過剰生産、建値変更による価値低下だけでは評価損の対象事実にならない注意
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