PRACTICAL GUIDE

ECのリピート率・LTV改善|90日コホートの見方と施策

リピート率が低い、という一つの数字だけでは次の施策は決まりません。初回購入月をそろえ、再購入できる商品か、何日後に必要になるか、二回目も利益が残るかを順に確認します。

01

リピーター率と再注文率を分ける

02

初回購入コホートを同じ日数で比べる

03

売上LTVを粗利や最終利益と呼ばない

STEP 01

最初に三つのリピート指標を分ける

ShopifyのReturning customer rateは、購入した全顧客に対するリピーター顧客の割合です。一方、自社で『1月の初回購入者のうち90日以内に再購入した人数』を測るなら90日再購入顧客率、『全注文のうち既存顧客の注文』を見るならリピート注文構成比です。分母と期間が違うため、すべてをリピート率と呼ばず、顧客数と注文数も併記します。

STEP 02

初回購入コホートを同じ経過日数で比べる

初回購入月や週ごとに顧客をまとめ、30日、60日、90日など同じ経過日数で再購入を確認します。Shopifyの顧客レポートでは、選択期間の新規顧客が後の期間に再購入すると分類へ反映される場合があるため、抽出日も記録します。1月コホートの90日結果と、まだ30日しか経っていない3月コホートを比較しません。

STEP 03

再購入できない商品をメールで追わない

耐久品、贈答品、一度だけ必要な商品は同じ商品の短期再購入が起きにくい場合があります。消費周期がある商品、交換品、関連品、追加購入、季節需要を商品群ごとに分けます。再購入率が低いだけで顧客不満と断定せず、商品の寿命、在庫切れ、配送地域、初回の返品・問い合わせ、購入目的を確認します。

STEP 04

初回購入後の体験を先に直す

注文直後の案内、配送予定、追跡、梱包、使い方、問い合わせ、返品・返金を点検します。二回目のクーポンを配る前に、遅延、破損、説明不足、欠品、解約しにくさなど再購入を妨げる事実を分類します。初回商品、配送方法、返品理由、問い合わせ理由ごとに90日再購入顧客率を比べ、再現できる問題から直します。

STEP 05

配信は購入時期と同意状態へ合わせる

補充予測、使用開始後の案内、関連商品の使い方、再入荷など、購入商品と経過日数に合う内容を送ります。Shopifyではチェックアウト等でメールマーケティングの同意状態を取得でき、顧客セグメントで購入条件に合う対象を動的にまとめられます。購入者全員へ自動送信できると決めつけず、同意状態、配信停止、頻度、対象地域のルールを確認します。

STEP 06

値引きなしの再購入も測る

クーポン施策では送信、到達、クリック、確定再注文、値引額、返品、配信停止を記録します。期限前後や配信対象外と比較できる設計にし、自然に戻った注文をすべて施策効果へ加えません。値引きで注文数が増えても、粗利額や次回の定価購入が下がる場合があります。値引きあり・なしの顧客群を混ぜず、商品別の注文貢献額で判断します。

STEP 07

LTVは売上と粗利ベースを別名で持つ

GA4のLTVやAverage 120d valueは購入等の収益データを基にする売上側の指標です。自社では『コホート累計の確定商品売上÷初回顧客数』を90日売上LTV、『商品売上-原価-決済-配送負担-返品-対象施策費』を初回顧客数で割った値を90日注文貢献LTVとして分けます。固定費、人件費、税まで含まなければ最終利益とは呼びません。

STEP 08

新規CPAは観測期間をそろえて判断する

初回注文だけで赤字でも、再購入後に回収する設計はあり得ます。ただし将来の再購入を保証値として先に使いません。獲得月別に新規CPA、30・60・90日売上LTV、90日注文貢献LTVを並べ、同じ観測期間が満了したコホートだけを比べます。返品や未回収売上を反映し、資金繰り上の回収日数も確認してから獲得費上限を更新します。

STEP 09

一施策を一コホートで検証する

対象商品、初回購入期間、配信対象、施策開始日、確認日、成功・停止条件を先に決めます。メール頻度、同梱物、サポート、値引きを同時に変えません。短期は到達・クリックではなく再注文まで、中期は90日注文貢献LTVと配信停止、長期は定価再購入と返品を確認します。母数が少ない場合は割合だけで結論を出さず、件数を残して次コホートまで待ちます。

WORKED EXAMPLE

具体例:初回顧客200人の90日LTVを売上と貢献額に分ける

以下は同じ初回購入月の顧客を90日追った編集部モデルです。業界平均や改善保証ではありません。売上・費用はすべて同じ税区分へそろえ、取消・返品を反映した確定値とします。

初回顧客同じ月の初回購入者
200人
90日再購入顧客自社定義で25.0%
50人
90日内の再注文1人複数注文を含む
60件
初回の確定商品売上初回注文200件
1,000,000円
再注文の確定商品売上再注文60件
300,000円
累計売上90日売上LTV 6,500円/人
1,300,000円
初回の注文貢献額集客前・2,000円×200件
400,000円
再注文の注文貢献額施策前・2,200円×60件
132,000円
対象施策費配信・値引き・制作の対象額
30,000円
計算結果90日再購入顧客率 50人÷200人=25.0%、売上LTV 1,300,000円÷200人=6,500円、注文貢献LTV(400,000円+132,000円-30,000円)÷200人=2,510円

この数字から分かること売上LTVは6,500円、注文貢献LTVは2,510円です。後者も固定費、共通人件費、税などをすべて控除した最終利益ではありません。再購入顧客50人と再注文60件を分け、同じ90日を満了した次のコホートと比較します。

DECISION CORE

リピート施策を、同じ90日と残る金額で選ぶ

顧客が戻った割合、再注文の件数、累計売上はそれぞれ別の判断材料です。初回購入月をそろえ、再購入できる商品と時期を見極め、値引き後にも残る金額で次の一手を決めます。

01

分母と経過日数を固定

初回顧客数、再購入した顧客数、既存顧客の注文数を分け、30日しか経っていない集団を90日満了の集団と比べません。

02

売上LTVと貢献額を分離

累計売上だけで回収を判断せず、原価、決済、配送負担、返品、対象施策費を引いた注文貢献LTVも同じコホートで計算します。

03

割引前に初回体験を点検

補充時期が来ていない商品へクーポンを送る前に、配送遅延、破損、説明不足、欠品、返品理由など再購入を止める事実を直します。

TWO CASES

条件が変わると、判断も変わる

一つの結論を全事業者へ当てはめず、運営条件の違う2ケースで確認します。

再購入顧客率25%で再注文60件

前提
初回顧客200人のうち50人が90日以内に再購入し、その50人が合計60件を注文した。
判断
顧客率は25%ですが、再注文は60件です。人数と注文数を混ぜると、一部の多頻度顧客を全体の改善と誤認します。
次の行動
50人と60件を併記し、商品群別の再購入人数、注文回数、経過日数を次コホートと比べます。

売上LTVは伸びたが貢献額が薄い

前提
90日売上LTVは6,500円へ伸びた一方、値引き、返品、配信費を引くと注文貢献LTVは2,510円だった。
判断
売上の増加だけでは、獲得費を上げられるかも最終利益が増えたかも判断できません。
次の行動
値引きあり・なしを分け、固定費や共通人件費を別途確認してから次コホートのCPA上限を更新します。

ケース内の数量・金額は判断方法を説明するモデルです。契約や予算決定には自社の実績値と最新の公式条件を使用してください。

FAQ

判断前によく出る疑問

ECのリピート率は何%なら良いですか?

商品寿命、購入周期、分母、観測期間で変わるため一律の合格値は置きません。同じ商品群と経過日数で自店の前コホートと比較します。

ECのLTVはどう計算すればよいですか?

まず期間を決め、累計の確定商品売上を初回顧客数で割る売上LTVと、対象費用を引いた注文貢献LTVを別名で持ちます。

購入後メールはいつ送ればよいですか?

一律の日数ではなく、使用開始、補充予測、再入荷など商品と購入時期に合わせます。マーケティング同意と配信停止も必ず確認します。

将来のリピート利益を広告CPAへ含められますか?

同じ観測期間を満了した複数コホートで再現を確認するまでは保証値にしません。返品、資金回収日、施策費を反映して段階的に更新します。

FINAL CHECK

実行前のチェックリスト

  • 顧客・注文・期間の分母を定義した
  • 初回購入コホートと抽出日を記録した
  • 商品群ごとの再購入可能時期を確認した
  • 返品・問い合わせ・欠品を先に分類した
  • マーケティング同意と配信停止を確認した
  • 売上LTVと注文貢献LTVを別名にした
  • 新規CPAとLTVの観測期間をそろえた
  • 一度に一施策と停止条件を決めた
PRIMARY SOURCES

公式出典

  1. Shopifyの顧客レポートShopifyヘルプセンター
    • 新規顧客とリピーターを分析する顧客レポートの範囲
    • 顧客レポートの一部には直近データの反映遅延があり得ること
    • 選択期間だけでなく顧客の注文履歴全体が分類へ影響する場合があること
    • オンラインストアのコンバージョン率がセッションに対するチェックアウト完了の割合であること
    • カート追加率、チェックアウト到達率、商品追加率などの指標定義
    • Cookie同意やボット判定によりセッション計測の見え方が変わり得ること
  2. Shopifyの顧客セグメントShopifyヘルプセンター
    • 類似条件の顧客を動的なルールでグループ化できること
    • 購入行動などの条件を使って対象顧客を把握できること
    • 作成したセグメントを対象別のマーケティングへ利用できること
    • チェックアウトや顧客アカウントでメール・SMSマーケティングの同意を収集できること
    • 同意チェック欄の初期状態や表示条件が地域設定などによって異なること
    • 連絡先の収集後も適用法令と同意状態に沿って配信する責任が事業者にあること
  3. GA4の維持率の概要レポートGoogle Analytics ヘルプ
    • 新規ユーザーとリピーター、コホート別のユーザー維持率を確認できること
    • 最初の訪問後に再訪したユーザーを経過時間ごとに確認できること
    • Average 120d valueが最初の120日間に得られた平均収益を示すこと
    • ユーザーの最初、最近、ライフタイム全体の行動や収益を探索できること
    • ユーザーのライフタイム収益などを流入元やキャンペーンと組み合わせて分析できること
    • 利用可能な日付範囲、レポート用識別子、データしきい値やサンプリング等の条件を確認する必要があること
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