PRACTICAL GUIDE

クーポン配布前に採算を確かめる

10%OFFのクーポンを配って注文が増えた。それでも、月末に残るお金は前より少ない。値引きすると売上は下がりますが、仕入れや配送の費用は同じようには下がりません。まず1注文でいくら残るかを計算してから、クーポンの条件を決めましょう。

01

値引き後の売上から注文ごとの費用を引く

02

最低購入額・対象・併用・回数を一緒に決める

03

利用件数をそのまま純増の注文と数えない

STEP 01

何を増やしたいクーポンなのか、一つに絞る

初めての購入、2回目の購入、特定商品の在庫消化では、対象者も見る数字も違います。最初に『誰に、何を買ってもらいたいか』を書いておきます。全員へ配ることから始めると、割引なしでも買う予定だった注文まで値引きする可能性があります。

例えば2回目の購入を促すなら、配布数や使用回数だけでなく、配布対象者の再購入と、値引き・返品を反映した残額を見ます。在庫消化なら、残す商品まで一律に下げる必要があるかを考えます。

購入画面のエラーや、送料が最後まで分からないことが離脱原因なら、クーポンより先にその問題を直します。値引きは商品の説明不足や使いにくい画面を解消するものではありません。

STEP 02

10%引きで、1注文に残る額がどれだけ減るか

下の例は、値引き前の商品売上5,000円、商品原価2,000円、店が負担する送料600円、梱包費100円とする仮の計算です。金額はすべて税抜の試算値。お客様から送料は受け取らず、決済費は値引き後の商品売上の4%と仮定します。実在するサービスの料率や税込決済の請求を再現するものではありません。

値引きしなければ、決済費は200円で、5,000−2,000−600−100−200=2,100円が残ります。10%引きなら商品売上は4,500円、決済費は180円。残る額は1,620円へ減ります。値引き500円と決済費の減少20円を合わせ、1注文で480円の差です。

ここでいう『残る額』は、商品原価・送料・梱包・仮定の決済費を引いた金額です。広告費、人件費、家賃、カート利用料、返品損失、税金などはまだ引いていません。店の最終利益でも、口座の残高でもありません。自店では実際の費用範囲と税区分へそろえて計算し直します。

STEP 03

同じ残額を保つには、何件の注文が必要か

同じ商品構成と費用のまま、通常価格で100件の注文がある場合を考えます。残額の合計は2,100円×100件=210,000円です。すべての注文を10%引きにするなら、210,000円÷1,620円=約129.63件。件数を切り上げて130件が必要になります。

つまりこの仮例では、注文数が100件から130件へ約30%増えて、ようやく記載費用を引いた合計が元と同程度になります。10%値引きだから10%増で足りるわけではありません。130件なら210,600円ですが、30件分の追加作業費や返品損失などはこの差に含んでいません。

これは必要件数の計算で、クーポンを出せば130件売れるという予測ではありません。売れる商品や客単価、配送費、クーポンを使う割合が変われば結果も変わります。値引き後の1注文の残額が0以下なら、この前提では注文を増やしても元の残額を回収できません。先に条件を見直します。

STEP 04

割引率だけでなく、対象と併用条件を決める

対象商品、対象者、最低購入額、有効期間、利用回数、他の特典との併用を一組で決めます。利益が薄い商品や、配送負担の大きい商品へ同じ率を適用してよいかも確かめます。最低購入額を設ける場合は、その金額ちょうどの注文でも採算が合うか計算します。

Shopifyの金額割引には定額と割合があり、商品や注文の金額から割り引きます。この種類の割引は送料には適用されません。特定商品への割引で最低購入額を設定する場合、公式案内では対象商品の金額だけを条件判定に使います。対象外商品との合計だけで判断しないようにします。

併用についても、すべての割引が無条件に足されるわけではありません。Shopifyは割引の種類と各設定によって組み合わせを扱い、利用条件がある組み合わせもあります。自動割引、会員特典、送料割引、手動調整まで含め、購入画面で実際の合計を確認します。ここでの10%引き計算は、他の特典を併用しない前提です。

STEP 05

配る前に、予算上限と止める条件を置く

定額500円を1注文に1回だけ適用し、合計100回までに制限するなら、値引額の上限は50,000円という計算になります。ただし、同じ条件がカートで実現できることが前提です。割合割引は購入額によって値引額が変わるため、回数制限だけでは金額の上限が固定されません。

『お客様1人1回』と『全体で100回』は別の制限です。Shopifyにも全体の使用回数と顧客ごとの制限があります。新しいコードを作り直した場合の扱いも確認し、案内した条件と実装が合うかを見ます。有効期間は管理画面のタイムゾーンに従うため、終了日時も店の案内と照合してください。

対象外の商品にも適用された、想定しない併用で残額が下がった、在庫や出荷能力を超えたなど、止める条件を先に決めます。誤設定があれば追加配布や該当コードの利用を止め、すでに受けた注文を別途確認します。注文をまとめて取り消すなどの対応は、購入条件と個別状況を確認してから判断します。

STEP 06

試した後は、割引なしの注文も含めて振り返る

少数の対象で試すなら、期間、対象者、配布経路、利用件数、値引額、確定注文、返品、残額を残します。可能なら同じ条件で比較できる非配布群や過去の期間も使いますが、季節や集客の違いが大きければクーポンだけの効果とは言えません。

クーポン利用100件が、そのまま新しく増えた100件とは限りません。もともと購入する予定だった人、購入時期を前倒しした人も含まれます。割引あり・なしを合わせて、目的だった初回購入や再購入がどう変わったかを見ます。

期待した動きがなければ、割引率をすぐ上げるのではなく、届ける相手、対象商品、案内内容を見直します。配布を続ける判断は、使用回数の多さではなく、注文全体の採算と作業負担を見て行います。

WORKED EXAMPLE

具体例:5,000円の商品を10%引きにした1注文

金額は税抜の仮例。お客様から送料は受け取らず、他の特典は併用しません。商品原価2,000円・店負担送料600円・梱包100円は値引き前後で同じ。決済費4%は試算用の仮定で、特定サービスの実請求とは異なります。

値引き後の商品売上5,000円×90%
4,500円
商品原価・送料・梱包2,000円+600円+100円
2,700円
仮定の決済費4,500円×4%
180円
記載費用を引いた残額通常価格時は2,100円
1,620円
計算結果4,500−2,700−180=1,620円

この数字から分かること1注文の残額は480円減ります。この金額から、さらに広告・人件費・家賃・カート利用料・返品損失・税金などを考える必要があります。売上、最終利益、入金額とは分けて判断してください。

DECISION CORE

クーポンを続けるかは、利用数より注文全体で決める

配布後に見るのは『何回使われたか』だけではありません。値引きした注文に残る額、増えた注文、想定外の適用を分けると、次に変える条件が見えてきます。

01

値引き後に残らないなら、率を上げない

商品構成・送料・決済費を含めて1注文の残額を計算します。0以下なら、同じ条件のまま件数を増やす計画では回収できません。

02

注文が増えなければ対象と届け方を見直す

通常購入の値引きだけになっていないか、配布対象と注文全体を比べます。利用率の高さだけで成功とせず、追加の値引きを決める前に原因を見ます。

03

想定外の併用があれば配布を止めて確認

自動割引や送料特典を含めた実際の注文額を確認します。設定を直す作業と、すでに受けた注文への対応は別に扱います。

TWO CASES

条件が変わると、判断も変わる

一つの結論を全事業者へ当てはめず、運営条件の違う2ケースで確認します。

100件売れたが、注文数は以前と同じ

前提
仮例と同じ商品が、通常価格100件から全件10%引き100件へ変わった。
判断
記載費用を引いた合計は210,000円から162,000円へ減ります。値引き後の注文が増えなければ差を回収できません。
次の行動
値引き利用数を純増と扱わず、配布対象と割引なしの注文も合わせて、続ける条件を見直します。

対象商品の金額が最低購入額に届いていない

前提
Shopifyで特定商品向けの金額割引を作り、対象外の商品も買えば最低金額に達すると案内した。
判断
公式案内では、特定商品の割引は対象商品の金額を最低購入要件の判定に使います。カート全体の合計だけでは一致しません。
次の行動
対象商品だけの場合と対象外を混ぜた場合を試し、適用条件と購入前の案内をそろえます。

金額と注文数は同じ試算条件を使った仮例で、配布効果の実績ではありません。自店の費用と割引設定へ置き換えてください。

FAQ

判断前によく出る疑問

10%引きなら注文が10%増えれば元に戻りますか?

そのようには決まりません。値引き後の1注文に残る額で変わります。この仮例では通常100件の残額に並ぶために130件が必要ですが、追加作業費や返品などは別に見ます。

定額と割合のクーポンはどちらが管理しやすいですか?

1注文1回の定額割引は、全体の使用回数を決めれば値引額の上限を計算しやすくなります。割合割引は購入額で値引額が変わります。対象商品の構成と実装できる制限で選んでください。

期限を過ぎたら同じコードを作り直してよいですか?

顧客ごとの利用回数制限などが引き継がれるとは限りません。Shopifyでは削除後に複製したディスカウントを以前の利用者が再度使える場合があります。再作成前に条件と利用実績を確認します。

FINAL CHECK

実行前のチェックリスト

  • 目的と配布対象を一つに絞った
  • 最低購入額ちょうどの注文でも採算を計算した
  • 送料・決済費と値引額を重複なく扱った
  • 対象外商品と併用時の購入画面を確認した
  • 全体の回数と1人当たりの回数を分けた
  • 終了日時・停止条件・実施後の比較方法を決めた
PRIMARY SOURCES

公式出典

  1. ディスカウントコードShopifyヘルプセンター
    • 期間・回数・最低注文金額・対象商品・併用を設定できること
    • 有効日時はストアのタイムゾーンに基づくこと
    • 削除・複製したコードで顧客の利用制限が元と同じにはならない場合
  2. 金額割引ディスカウントShopifyヘルプセンター
    • 定額・割合による商品や注文の割引は送料へ適用されないこと
    • 特定商品の割引では対象商品のみを最低購入要件へ計上すること
    • 全体の使用回数と顧客ごとの回数が別であること
  3. ディスカウントの組み合わせShopifyヘルプセンター
    • 商品・注文・配送の割引で対象範囲が異なること
    • 併用は割引種別・各設定・利用条件により異なること
    • 手動割引なども含め実際の注文で適用内容を確認すること
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